
冷たい風が、制服の隙間をすり抜けた。
ついこの前まで汗だくで登校してたのに、もう秋の匂いがしている。
季節って、居座るときは長いくせに、移るときはほんとに一瞬だ。
そんなことをぼんやり考えながら、僕は校門を出て家に向かって歩いていた。
商店街を抜け、小さな公園を過ぎたところが僕の家だ。
──その公園を通りかかったときだった。
「おーい、静雄!!」
振り返ると、クラスメートの肝稲(きもいね)が、全力で走ってくる。
肩で息をして、目だけやたら輝いていた。
「どうしたんだよ。なんかあったのか?」
「いや、歩いてたらお前の後ろ姿見えてさ。
……それより聞いてくれ! 俺、ヲタクの見分け方わかったかもしれん!」
唐突すぎる。けど、肝稲はもう止まらなかった。
「ヲタクってな、でかい声で、しかも早口でしゃべるんだよ!
あいつら、自分の好きなこと話したくてしょうがないから、
つい興奮して早口になるんだ!」
一気にまくしたてたあと、肝稲は「ぜぇぜぇ」と肩で息をしていた。
息が切れるほど、熱く語って。
……僕は、ひと呼吸おいてから口を開いた。
「それ、今のお前じゃん。」
風がまた吹いた。
たぶん、秋のせいだけじゃなくて、ちょっとだけ寒かった。