冬の風物詩
今朝は、いつもより少しだけ早く目が覚めた。まだ薄暗い部屋の中で、ぼんやりと天井を見つめる。冬の朝特有の静かでひんやりとした空気が部屋を包んでいる。
布団から出るのが億劫で、しばらくの間うとうとと過ごしていた。しかし、そう長くもしていられない。今日は朝から大事な会議があるのだ。
重い腰を上げてベッドから出る。寝室を見渡すと、子供たちと妻がすやすやと寝息を立てている。彼らを起こさないようにそっと寝室を出てリビングに向かった。カーテンを開けると、外はまだ夜明け前の薄暗さに包まれており、冷たい空気が部屋の中に流れ込んできた。
私はエアコンのスイッチを入れ、そのあとやかんでお湯を沸かした。
その間に身支度を済ませ、沸騰したお湯を使って温かいコーヒーを作り、一杯飲んでから家を出た。
玄関のドアを開けると、ひんやりとした空気が肌に突き刺さる。吐く息は白く、冬の訪れを改めて実感する。
足早に駅へと向かう途中、信号待ちをしている間に何気なく足元を見た。すると、道路の脇にできた小さな水たまりが、薄く氷で覆われていることに気がついた。
昨日の雨でできた水たまりだろう。夜間の冷え込みで、表面が凍りついたのだ。
氷は、まだ完全に固まってはおらず、薄いガラス細工作りのように繊細で、うっすらと透明感を帯びている。
その透明な氷の下では、昨日の雨水が、静かに揺らいでいるのが見える。まるで、時間が止まったかのような、不思議な光景だった。
私は、しばらくの間、その凍った水たまりを眺めていた。
都会の喧騒の中、こんなにも静かで、儚いものが存在していることに、心惹かれるものがあった。
そして、この凍った水たまりは、冬の寒さを乗り越え、春が来るのを静かに待っているようにも思えた。
「ふふ。なんか詩人になったみたいだ。」
冬は人の感性を豊かにするのだろうか。らしくない。自分でもそう思った。
やがて、信号が青に変わった。私は、凍った水たまりに別れを告げ、再び歩き始めた。
さて、今日も一日頑張るとしよう。